建物の傷み具合・症状の分析
建物の傷み具合・症状の分析
お伝えしたいことでお約束した事の内容!
comeentator by yasushi.Haruno
塗膜劣化症状(病状説明)
症状1/ 変退色・色ムラ
塗料に含まれる樹脂等の成分が自然界の影響や素材寿命で経年劣化したり、コンクリート等のアルカリ成分に侵されたりして起こる。
一昔前はアクリル等の比較的安価で耐候性の劣る塗料が戸建市場によく出廻っていたのでこれは5年程度でこの現象が発生した。
症状2/ チョーキング(白亜化)現象
症状1に併発して起こる病状で、塗膜の表面が劣化し粉状になり艶が引けてくる。塗膜形成している樹脂が分解され着色顔料が露出してきた為に起こる。原因は症状1と同じ経年劣化と塗料自体の耐候性の不足による。
症状3/ 塗膜のハガレ・ワレ
良性の症状は塗膜性能の限界を超えた経年劣化に因るもの。これは今までご苦労さんでした、なので手厚く看病致しましょう。
悪性のものは前回の塗装時に素地調整不足によるもの、下に塗った塗料の乾燥状態が悪かったり、過度に硬化した下地塗料の上に塗装してワレが発生したりするもの。病名は”層間剥離”と言う。現象としては、素地や下塗膜の層間において付着力不足が起き、塗膜がパラパラ剥れるように浮き上り剥落する。
症状4/ 浮き・剥落
主にコンクリート下地の場合に起こる症状。仕上げ材の下に使用されているモルタル系の塗材が経年劣化、地震等の自然災害や他の外的要因により素地コンクリート面との境に隙間を生じてこれが進行すると剥落を起こす。早期発見なら部分麻酔(エポキシ注入)を打ち修復可能。症状が進行した場合は切開手術(ハツリ~撤去~修復)が良策。
症状5/ 爆裂
これもコンクリート素地に起こる症状で、コンクリートそのもの劣化に因り内部に侵入した水分や空気が内部鉄筋の発錆~腐食を生じさせるものを言う。腐食した鉄筋は体積の膨張により周囲のコンクリートを割り内部鉄筋が剥き出しになった状態になっている。切開手術(ハツリ~撤去~修復)が基本治療方法。
症状6/ シーリング材の劣化
建物の防水性、気密性を保持するのに重要な役割をしているのがシーリング材です。症状としたら、1、変形・肉やせ2、破断、3、汚れ、にじみ等に分けられる。多く見られるのが界面接着破断という病名の建物とコーキング端部が離れて切れるものや真ん中が凹んだように肉痩せして薄くなった部分が切れているものだ。シーリング材の上に塗装を乗せた場合シーリング材ではなく、上の塗膜だけが割れているケースも多いのでこの場合良く観察する必要がある。
原因は躯体の挙動に因るもの、接着基材の劣化に因るもの、プライマーの塗布不良に因るものとされる。
塗り替え時に今までに治療したことのないシール材は基本新しいものに取り替える治療を行う。
症状7/ エフロレッテンス
エフロレッテンスという病気は”白華”とも呼ばれ外壁等のクラック、割れから水分が浸入しモルタル内の石灰が水に溶け表面に染み出しそれが、空気中のCo2(二酸化炭素ガス)と融和して発病するものです。
治療方法は症状4に順ずる。
症状8/ 塗膜の膨れ
症状4の浮き・剥落と一見似てみえる症状ですが別の病気です。
防水性のある弾性塗膜や濃い色の壁面に多く方角では日当たりの良い方角に多く見られます。こちらは表面塗膜のクラック等から侵入した水分が塗膜~素地間の蓄熱によって生じる熱伸縮が原因で膨れる場合が多い。起因する根源は素地調整不十分、施工時の気象等工事管理に問題がある場合が多い。先ず打診診断で躯体まで傷みが達してない場合はその物件環境、状態に適した表面仕上げ材を施す治療をする。
症状9/ サビの発生
鉄がサビを発生するには酸素と水が必要です。
鉄の表面に水分が付着すると鉄は鉄イオンとなり溶け、水は水酸化イオンとなり水酸化鉄を生成する。これが空気中の酸素と反応して酸化鉄(サビ)が出来上がるのです。
これは金属がその設置環境中の成分と反応し化合物化され消耗する腐食という病名です。
要するに海岸線や腐食促進物質の多い化学工場などの雰囲気は早年でサビの発生~腐食が始まるので、通常の塗装仕様よりグレードを上げた仕様が必要となってきます。従いましてメンテナンスの場合も少しグレードの高い治療薬の投薬(塗料設計)が健康維持につながります。
症状10/ 躯体のひび割れ
コンクリート躯体にひび割れが発生する原因は以下の通り。
1.コールドジョイント=コンクリートを打説した面が固まり後打ちするコンクリートと接着しない接合面が出来た。
2.気温や温度差による伸縮応用力の低下。
3.不同沈下=建造物の基礎の沈下が全体から見て不均一である。
手当て(補修方法)はひび割れの幅等により変わる。Uカット~シーリング工法やエポキシ注入工法等ある。
症状11/ 漏水現象
屋根、床、壁面の欠損部より侵入した雨水が下層階に廻る現象。
躯体を劣化させる原因となるので早急に手当てするのが望ましい。
症状7のエフロレッテンスも併発していることが多い。漏水箇所
には白い結晶物が付着してるのでわかり易い。この部分の鉄筋も腐食している可能性が高い。
手当ては症状10と同様にひび割れ処理が基本となる。
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